こうした変化の原動力となった要素の一つが、海外旅行である。中国では年間1億を超える国民が海外旅行をする時代であり、中国人の海外での見聞は、個人の生き方や社会の在り方を少しずつ変えているといえるだろう。訪日旅行が与えた影響もまた小さいものではないはずだ。

 他方、日本人はここ数年、中国市場に背を向けてきたところがある。12年の反日デモがきっかけで「中国法人の経営を見直す日系企業」も少なくなかった。その後、製造業を中心に中国からの撤退や、「チャイナプラスワン」を合言葉に拠点をシフトさせた企業が続出した。日本人の中国への関心も薄れ、中国への渡航者も07年の約398万人から、15年には約250万人にまで減った。

 しかし、日本はアジアの一国として、隣国のこうした変化を知らないのはまずいだろう。中国という巨大市場で見れば相変わらずリスクある市場だが、上海というエリアに限定すれば、かなり洗練された市場に急成長している。世代交代も進み、海外経験が豊富な若手を中心にマインドセットを変えようとする中、むしろ成熟に向かう市場としてこれを再評価する必要があるのではないだろうか。

(ジャーナリスト 姫田小夏)