タクシーの運転手がノンアルを飲んでいたら……

 さて、なぜ“職場でノンアルビール”は御法度なのかというと、投稿に寄せられたコメントでは、「TPOへの配慮」を理由に挙げる人が多かった。TPOとは、Time、Place、Occasionの頭文字をとった言葉で、時と場所、場合に配慮したマナーを心がけるべきという考え方だ。

 たしかに、時と場所、場合を選ばずに、突然ノンアルビールが出てきたら驚くだろう。たとえば、取引先との商談で、相手がノンアルビールを飲んでいたらどう感じるだろうか。タクシーの運転手が、走行中にノンアルビールを飲んでいたら、誰もが違和感を覚えると思う。

 しかし、である。時と場合を選ばずに飲めるのが、ノンアルビールの魅力ではなかったのか。車の運転に差し支えないというのが、ノンアルビールのウリではなかったのか。

 そう考えると、ノンアルコールビールの定義を、今一度考え直す必要が出てきそうである。そもそも、“ノンアル”と銘打っている時点で、アルコールを連想させる飲み物であるという原点に立ち返って考えてみると、その独特なポジションが見えてくるだろう。

 コーラは、“ノンアルコールコーラ”とは呼ばない。コーヒーは、“ノンアルコールコーヒー”とは呼ばない。しかし、ノンアルコールビールは、あくまで“ノンアルコール”であり、ビールに限らず、他のノンアルコール飲料もそれは同じだ。つまり、すべての“ノンアルコール◯◯”は、アルコールを飲むシーンを想定して作られているのである。

 となると、当然、アルコールを飲むシーンを想定したTPOが求められるというわけだ。だから、勤務中に飲んだり、未成年に勧めたりすることに、違和感を覚えるのだろう。