職場や仕事関係の人にSNSでつながりを求められ、公私の境目が曖昧になるケースも

“「いいね!」の連発”はハラスメント?

前回は、休日や勤務時間外に仕事上のやり取りをしないで済む「つながらない権利」について取り上げた。特にスマートフォンが普及してからは、オフィス外でのメールの送受信が気軽になったため、公私の境目がつかなくなってしまうケースが多く報告されるようになった。

 前回は電話やメールでの連絡に絞って話をしたが、「つながらない権利」を考えるうえで忘れてはならないのが、ソーシャルメディアの存在である。最近では、TwitterやFacebookなどのSNSで職場や取引先の人とつながるか否かが、多くのビジネスパーソンにとって悩みの種になっている。フォローや友達申請を求められることが不快に思う人も一定数いて、「ソーシャルネットワーク・ハラスメント」(ソーハラ)という言葉まで登場している。

 愛知工業大学が作成した冊子「教職員向けガイドブック-STOP!ハラスメント-」によると、“「いいね!」の連発”もソーハラの一種になるらしい。あるユーザーのツイートニュース記事でこのことが話題になると、ネット上で議論が巻き起こった。「考えすぎ」と思う人がいるかもしれないが、常に同じ人から「いいね!」を押されると、日常生活を監視されている気持ちになる場合もある。それが上司や取引先の人だったらなおさらだ。「いいね!」を押している本人は良かれと思ってやっていたとしても、やられた当人からするとストレスやプレッシャーになっているという構図は、多くのハラスメントに共通するものである。

 実際に部署に新人が入ってきたら、まずはSNSのアカウントを探してみるなんて話はよく聞くし、投稿やコメントを巡って職場や取引先の人とトラブルになったという事例もたくさんある。プライベートの投稿を見られることを防ぐため、複数のアカウントを使いこなしている人も珍しくない。今回は、SNS上の「つながらない権利」について考えてみる。

コメント強要、画像保存、グループ外し……

 オウチーノ総研が2016年5月に発表した「SNSと職場コミュニケーション」実態調査によると、職場の人とつながっているソーシャルメディアで一番多いのは、LINEで61.3%。次いでFacebookが37.6%、Twitterが20.5%、Instagramが17.7%の順となっている。