今年も株主総会シーズンのヤマ場である6月最終週がやってきた。

 株主総会と言えば、一昔前なら総会屋、2000年代になると「もの言う株主」といわれるアクティビストファンド、近年は創業家株主などと、時代に応じて、株主総会の進行を乱す“役者”が入れ替わってきた。

 そして今年、例年になく脚光を浴びている役者が存在する。それが「議決権行使助言会社」だ。

 議決権行使助言会社とは、機関投資家向けに、投資先の株主総会の議案において、賛成/反対の助言を行う会社。具体的には、米インスティテューショナル・シェアホールダーズ・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスの2社がこの手の会社の「世界の二強」である。

 海外の機関投資家が株主総会で議決権を行使する際、両社の助言に沿って議決権を行使することが多い。日本に拠点がない場合、投資先である日本企業をつぶさに分析する労力が割けないからだ。そのため両社は株主総会の議決権の行方を左右する、知る人ぞ知る存在だった。

 ところが今年、海外投資家だけではなく、他の一般株主からもISSやグラスルイスの助言内容に注目が集まり、両社は一気に主役並みの脚光を浴びている。

 背景には、日本企業のコーポレートガバナンスに対する不信感の高まりがある。引き金になったのは、東芝だ。同社はコーポレートガバナンス(企業統治)の先進性においては評価が高かった企業だ。そんな東芝で、不正会計が発覚。社外取締役が機能不全に陥っていたり、元社長の相談役が現経営陣へ隠然とした影響力を保持していたりと、次々とガバナンス形骸化の実態が明らかになったからだ。