探せばある買っていい
健全な毎月分配型投信
毎月分配型投資信託を取り巻く環境は、大きく変わったのは事実です。今後も為替、原油価格、中国景気の影響などのマクロ指標を考慮すれば、分配金が増額される毎月分配型投資信託よりも、減額される数の方が多いと予測されます。ただし、全ての毎月分配型投資信託がダメなのか?と問われれば、安定した分配金が期待できる商品があるのも事実です。基本は毎月の分配金を投資対象である債券やREIT(不動産投資信託)などから得られる利子や分配金(「インカムゲイン」という)で賄われている割合が多い商品を選べばよいことになるのです。
さらに、新たな政策リスクとして浮上してきた「毎月分配型投資信託は悪い金融商品」の象徴のように見立てている金融庁の姿勢も無視できません。毎月分配型投資信託は悪くないのに、金融庁にレッテルを貼られたことから、金融機関が以前のように積極的に販売しなくなっているからです。毎月分配型投資信託の主要投資家である高齢者に適した、リタイアまで形成してきた資産を「運用しながら取り崩していく」という単利運用型が全く理解されていないためレッテルが貼られただけなのです。金融機関は積極的に売らないかもしれませんが、私たち投資家がこの毎月分配型投資信託を買いたいと指定すれば、金融機関とてむげにするわけにいかないのです。私たちは安定した分配金が期待できる毎月分配型投資信託を選ぶことができる眼力を付けなければなりません。
新著での分析方法ですが、「毎月の分配金を投資対象からの利子や分配金でどのくらい賄われているか」がポイントとなります。この割合を計るには、毎月分配型投資信託のマンスリーレポートに着目するのです。同レポートに記載されている「直接利回り」あるいは「配当利回り」をピックアップします。その利回りを毎月分配型投資信託の時価である基準価額にかけ、計算された数値を12ヵ月で割ることで1ヵ月当たりのインカムゲインを計算します。
1ヵ月当たりの分配金が計算できたら、その金額を毎月の分配金で割れば、毎月の分配金の内、どのくらいの金額がインカムゲインで賄われているのかがわかるわけです。私は新著では、この割合を「分配金健全格付け」と称して10段階で評価していますが、思いのほか格付けが低い毎月分配型投資信託が多く、投資環境の悪化を再確認しました。
あなたが保有していなくても、親が保有している毎月分配型投資信託の分配金健全格付けを計算してみてください。新著のタイトルは注意喚起を促すものですが、毎月分配型投資信託を上手に使ってもらいたいというのがいちばんの本音です。ややもすると、同投信には季節はずれの北風が吹き荒れていますが、きちっと商品内容を分析すれば、心地好い日ざしを浴びてすくすくと成長している良好な毎月分配型投資信託がきっとみつかるはずです。