“首都の政治決戦”の様相を呈する東京都議選が終盤を迎えている。最大のテーマとなった築地市場の豊洲移転問題は、築地、豊洲の両立という小池百合子知事の奇抜な提案を受けて、賛否両論の議論が白熱している。そこへ、あの流通業界の“黒船”襲来が噂されているのだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟、柳澤里佳)
7月2日に投開票を控えた東京都議会議員選挙。論戦は終盤を迎えている。昨夏に当選した小池百合子知事率いる都民ファーストの会が、これまで多数派を形成し都政に絶大な影響力を発揮してきた都議会自民党を、どこまで追いつめられるかが焦点だ。
論戦の最大のテーマが、築地市場の豊洲移転問題だ。6月20日、都は従来の築地を取り壊した後に土地を売却する方針を改め、「築地は守る、豊洲を活かす」をスローガンに、豊洲と築地の両方を活用する方針を発表した。
流通業界関係者がこぞって注目したのが豊洲について。小池知事は「冷凍冷蔵・加工の機能を強化して、ITを活用した総合物流拠点にする」「湾岸地域の物流センターとして有効な立地。転配送機能や市場外流通機能を発展させることで新たなビジネスチャンスを生む」と発言している。
ある物流企業首脳は「件の豊洲は考えられないくらい良い立地。まとまった広さがあるし、環状2号線の開通も予定されている。今一番勢いのある“黒船”が狙うのは当然だ」と語る。黒船とは日本の流通市場の“破壊者”米アマゾン・ドット・コムである。アマゾンと都が、豊洲活用で手を握るのではないか、と噂が広がっているのだ。