人がスムーズに聞き取れるイントネーション

 実はNHKの新人アナウンサーは、ニュースを読む研修で、まずこの読み方、最初の音が高く、だんだんと音が自然に下がっていくという読みの基本を学びます。文章の中での音の高低を「イントネーション」と言いますが、高いところから低いところへと自然と下がっていくイントネーションこそ、最も聞いている人にとっては自然でスムーズに聞き取れるという基本を学ぶのです(文章によってはもちろん違う言い方もあります。あくまで基本ととらえてください)。なぜこのイントネーションがよいのかは、詳細に説明すると複雑になってしまいますので、ここはざっくりとそうしたほうが聞き手の感覚にあうのだろうと考え、「文の最初はほんの少し高い音でしっかり言う」とだけ覚えておいてください。声の出し方は、連載第3回のようにボールを4〜5メートル前に投げるイメージです。

 本当に?と思われた方は、この節の最初3行を、文の最初を低く言うのと、高く言うのとではどちらがスムーズに読めるか、聞こえるか録音してみて試してみてください。きっとおわかりいただけるはずです。
 

* 心に届く話し方ルール *
文の最初の音は、ボールをポンッと
軽く投げるイメージで発音する

松本和也(まつもと・かずや)
スピーチコンサルタント・ナレーター。1967年兵庫県神戸市生まれ。私立灘高校、京都大学経済学部を卒業後、1991年NHKにアナウンサーとして入局。奈良・福井の各放送局を経て、1999年から2012年まで東京アナウンス室勤務。2016年6月退職。7月から株式会社マツモトメソッド代表取締役。
アナウンサー時代の主な担当番組は、「英語でしゃべらナイト」司会(2001~2007)、「NHK紅白歌合戦」総合司会(2007、2008)、「NHKのど自慢」司会(2010~2011)、「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」「NHKスペシャル」「大河ドラマ・木曜時代劇」等のナレーター、「シドニーパラリンピック開閉会式」実況など。
現在は、主に企業のエグゼクィブをクライアントにしたスピーチ・トレーニングや話し方の講演を行っている。
写真/榊智朗