元々、積水化学が得意としてきたユニット工法(工場内である程度まで仕上げて現場で組み立てる)の住宅は屋根が平面である。その利点を最大限に生かして発電効率を上げる体制を構築したところが、容易に他社が追い付けない状況を生み出しているのだ。

 同社の住宅カンパニーで、営業を統括する黒木和清常務執行役員は「電力会社からどれだけ電気を買わなくて済むか、という観点で開発を進めてきた」と強調する。

老朽化した設備を一気に更新

 もっとも、積水化学の環境経営シフトは、住宅部門に限った話ではない。むしろ際立つのは、その全社的な徹底ぶりである。

 例えば、14年7月にぶち上げた「SEKISUI環境サステナブルインデックス」がある。これは、事業活動を通じて、どれだけ環境のために貢献したかを図る統合指標のことで、満点は100点となる。

 事業で利用した自然資本(原材料、工場稼働時の環境負荷など)に対して、自然環境の保全や環境貢献製品の拡充などを通してどれだけ戻すことができたかを見る。

 過去の実績は、64%(14年度)、76%(15年度)、77%(16年度)だった。この7月3日に発表した環境中期計画では、19年度に90%、30年度には100%に達するという野心的な目標を掲げた。数値こそ挙げていないが、50年に向けてはさらに環境負荷を減らす長期的な方針まで打ち出している。

 積水化学で経営戦略を担当する平居義幸取締役は、「今後も指標の実効性を上げるためのブラッシュアップは続ける」と堂々たる押し出しで、迷いを感じさせない。

 世の中に、環境経営を標榜する企業は数あるが、積水化学の取り組みは図抜けている。今回、発表した環境中期計画では、これまでなかなか手が付けられないでいた老朽化した古い設備の更新を一気に進めることも明らかにした。

「まだ、使えるから」と何十年も動かしてきた設備を一斉にリプレイスすることは、もちろんコストの問題もあるが、オペレーション上の問題もある。設備の順次入れ替えや、新しい設備への習熟に時間を要することで、一時的に生産性が落ちる懸念もあるからだ。

 それでも今回、新たに環境貢献投資枠を設定して120億円を使うことを決断した。ようやく、積年の宿題に着手し、対象となる拠点も拡大していく構えを取る。積水化学における環境経営の勢いは、当面、弱まりそうにない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)