「日本市場のニーズに合わせオーダーメードのソリューションサービスを提供したい。日本に会社を設立し、日本市場に注力していきます」――

 中国の太陽光発電業界をリードするGCL システム・インテグレーション・テクノロジー(GCL)が今年4月に日本法人を設立する。3月上旬、東京ビッグサイトで開催されたPV EXPOの記者会見で副総裁の鄭家鎮氏が明らかにした。

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 同社は太陽電池の原材料であるシリコンの生産では世界トップクラス。親会社の保利集団(Poly)の資本力をバックに、企業を買収し、研究所やファイナンス会社を設立、原料-システムインテグレーション-発電と、川上から川下までを抑える一大勢力に成長した。

 このGCLが、発電効率を高めた最新商品とシステム販売を武器に、日本のB to B市場の開拓に乗り込む。すでにメガソーラー開発の分野において三菱、京セラ、シャープなどと業務提携があることからも、そのサービスはジャパンクオリティを満たすものだ。

 マイクを握る鄭家鎮氏のスピーチからも「満を持しての進出」という“自信のほど”が伺える。

過剰在庫で苦しむ中国には
日本市場は格好の売り先

 会見で鄭家鎮副総裁が強調したのは、日本市場の重要性だ。同社のように日本市場に関心を示す中国の太陽光関連企業は少なくなく、この数年で日本に法人を設立した中国企業は14社(日本貿易振興機構調べ)にまで増えた。

 太陽光発電事業の楽土――と中国が有望視する日本市場だが、振り返ればそのきっかけは東日本大震災だった。当時、中国のメディアは「日本では脱原発が進みエネルギー革命が起こる」と報じ、中国の企業家らは震災を“商機”と捉えたのである。

 東日本大震災が起こった2011年は、欧州債務危機の拡大で、欧州市場への輸出に依存する中国企業の業績が悪化に転じた年でもあった。再生エネルギー分野も同じで、大躍進を遂げた中国の注目企業もこの局面で続々と破綻した。過去5年で売上高を100倍に伸ばしたサンテックパワーでさえ、経営破綻に追い込まれたことは記憶に新しい。