IT技術を使って賢く省エネ化を図る「スマートハウス」は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という新基準の省エネルギー住宅の登場で、新しい局面に入っている。今後、スマートハウスはどうなっていくのだろうか。
昔に比べて廃れた!?
以前ほど聞かなくなったスマートハウス
「『エコ住宅』や『スマートハウス』という言葉は以前ほど盛んには聞かなくなりましたね。ハウスメーカーもそれほど強く強調しなくなっています」――。
多くの住宅業界関係者が口を揃える。一時期、スマートハウスは、「賢い省エネルギー住宅」として、あたかも時代の最先端のように流行り、もてはやされた時期がある。かつては、ハウスメーカーの営業担当者も「スマートハウス」というキーワードを盛んに営業トークに使ったものである。
それが、最近はあまり聞かない。エコ住宅やスマートハウスは、廃れてしまったのか…といえば、そうではない。
「むしろ、スマートハウスは普及し、広く定着しつつある。なので、珍しくはなくなり、わざわざ強調されなくなったというのが正しいでしょう」と語るのは、福田和幸・積水ハウス環境推進部温暖化防止研究所部長。
そもそもスマートハウスとは、どのようなものなのであろうか。実は明確な定義はない。しかし、イメージ的には、業界として、ある程度の共通認識というものがある。
それは概ね「コンピューターによる制御・管理システムなどの『頭脳』が付いていて、暮らしを豊かにする省エネ住宅」(七岡寛・大和ハウス工業本社技術本部総合技術研究所工業化建築技術センター性能研究グループ主任研究員)という表現に代表されるものだろう。