では、野党側はどうか。安倍首相の私案は、「教育無償化」の部分については維新の会の主張を取り入れたものだとされている。維新の会は基本的に異論はないだろう。その上、民進党では「死に体」の蓮舫執行部が退陣した後の後継として最有力視される枝野幸男元官房長官は、改憲の「枝野私案」を提起している。

 枝野氏は「リベラル派」として知られるが、「憲法調査会」の議論には長年かかわってきた。改憲には「一家言」持っている政治家だ。安倍私案は議論好きな枝野氏に火をつけ、本格的な改憲に向かわせることになっている。もちろん、「ポスト蓮舫」で枝野氏の対抗馬と考えられる前原誠司元外相も、「本格的な改憲」論者であることは、言うまでもない。改憲論議に関して、民進党の内部では、これまでの共産党との共闘による「何でも反対」路線とは異なる動きが出てきているのは興味深い。

 このような、安倍私案をきっかけとする、与野党双方からの様々な「本格的改憲」を求める議論の高まりを警戒しているのが公明党だ。山口那津男代表は、「経済再生を進めることが政権の目標で、ひたすら邁進すべきだ。憲法改正は政権が取り組む課題ではない」「(衆参両院の)憲法審査会で合意形成に努め、国民の理解を伴うように進めなければならない」と述べた。自民党、維新の会に民進党までが改憲論議を進める流れとなると、公明党は明らかに存在感を失うことになる(2016.9.17付)。だが、流れを止めることはできていない。

 要は、改憲に関して、全ては安倍首相のペースで進んでいる。今にして思えば、やはり衆参両院で改憲勢力が3分の2を確保したことの意義はとてつもなく大きかったと言わざるを得ない。逆に言えば、それを許した「野党共闘」が「大健闘」だったと屁理屈を弄して、惨敗を総括しなかったことは、万死に値するのではないだろうか(2016.7.19付)。

内閣改造:橋下徹氏の
入閣はあるのか

 ここで、改憲から離れてみたい。現在、政局の焦点となっているのは、8月上旬に予定される内閣改造である。具体的には、支持率を反転させる起爆剤としての「サプライズ人事」だ。具体的には橋下徹前大阪市長と、小泉進次郎氏の入閣があるかということだ。

 橋下氏の入閣は、単なる人気者抜擢による内閣支持率回復効果を狙うだけではない。橋下氏は大阪市長退任時に「政治家に戻ることはない」と断言した。現在でも、入閣の「噂」について、橋下氏は沈黙を守っている。テレビ朝日系のレギュラー番組を持っている橋下氏は、政治の話題を議論する番組で公平性を保つ観点から、日本維新の会の政策顧問を辞任している。