節電、サマータイムの導入、平日休業――と、今年の夏は多くのビジネスパーソンが例年と異なる生活リズムで毎日を過ごしている。また、例年以上に長期間の夏季休業を予定している企業もあり、夏休み中の子どもと過ごす時間が増えた人が多いのではないだろうか。しかし、子どもと一緒の環境では、なかなか静かな1人の時間を過ごすことが難しく、読書なんてもってのほか、と考えてしまいがち。ところが、実際は“ある工夫”をするだけで家族と一緒でも集中して自宅で読書をする環境は作れるようだ。今回は、自身も3人の子どもの父親である“本のカリスマ”土井英司さんに、子どもと一緒に過ごしながらも夏休みの読書を快適にする方法と「子どもと一緒に読みたい(子どもも読める)」ビジネス書を紹介してもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
読書に集中できて、家族関係も円満!?
「家族読書」のススメ
――“節電の夏”である今年は、例年以上に子どもと一緒に夏休みを過ごす人が増えています。そうした環境では静かな時間を持つことが難しいように思いますが、快適に集中して読書ができ、なおかつ家族との関係も良好にするよい方法はありませんか。
私にも10歳、9歳、3歳の子どもがいますが、普通は3人も子どもがいれば家のなかが騒がしいですよね。そうした環境でも、集中して本を読むことができ、家族関係も円満に保つコツは、子どもを含めた家族全員が本を読むことです。
ぜひ夏休みの間に、子どもが絶対にハマる本を選んで購入してみてください。私も最近、『ナルニア国物語』や『ハリーポッター』を全巻買って、子どもに与えました。「うちの子どもは本が好きじゃないし、集中力がない」という方は、漫画でも構いません。ただ、教育的な要素のあるものを吟味して読ませてください。
そして、子どもが本を読み終えたら、「どういう話だった?」などと子どもに内容を説明させる機会を設けることがポイントです。子どもが話を要約するトレーニングになりますし、親にとっては情報収集になります。そして親に説明しなければなりませんから、子どもが途中で読書を挫折することも少なくなります。
また、子どもは一冊読み終えたら、「相手して!」と親にせがむこともありますが、そのときは「もう読み終わったの?すごいね!」などと褒めてあげましょう。子どもの自尊心を刺激することで、子どもはもっと本を読むようになると思います。自分が子どもに構わず、読書をしていることに罪悪感を持つ人もいるかもしれませんが、その必要はありません。「読み終わったら教えるね」と言えば、その間に子どもは自分の本を読んで待っていてくれるはずです。お互いが読み終わった後にフィードバックをすれば、とてもよい勉強とコミュニケーションになりますよ。