刑事ドラマでの取り調べといえば、「お前がやったんだろう!」と恫喝したり、「カツ丼でも食うか?」と刑事が被疑者に対して温情を見せたりするのが定番だ。しかし、『そこが知りたい!日本の警察組織のしくみ』(朝日新聞出版)の監修者である古谷謙一さんによると、カツ丼を食べさせるのは「自白に向けての利益誘導につながる」として、現在は禁じられている。これはカツ丼に限った話ではなく、パンやタバコなども禁止の対象になっている。
取調室では食事ができないので、昼食などはいったん留置場へ戻り、そこで支給される弁当などを食べる。飲み物については、コーヒーやジュースなどはご法度だが、水や湯茶はOKだという。
そもそも、「取調室=カツ丼」というのは刑事ドラマが作り上げたイメージである。戦後間もない日本では、安い割にはボリュームがあるカツ丼は一番の“ご馳走”だった。そこで、刑事の人情を喚起させるアイテムとしてカツ丼が出てきたのだ。人気の食事メニューといえば、ラーメンやカレーライスを想起しがちだが、ラーメンなどの麺類は伸びてしまうし、カレーは冷めると美味しくない。そのため、自然な流れでカツ丼に行き着いたようだ。