“超円高”といわれるが、インフレ率を勘案した実質レートで見れば様相はまったく変わってくる。たとえば日本に住んでいる人が10年ぶりにニューヨークに旅行に行くとしよう。ドル円レートはこの間におよそ36~38%上昇している。

 JFK空港からマンハッタンへのタクシー料金は、10年前は30ドルだったが現在は42ドル(+40%)。市内の地下鉄の1週間パスは10年前の17ドルが今は29ドル(+71%)だ。

 米国らしいステーキを食べるため1868年創業の「オールド・ホームステッド」に行く。ポーターハウス・ステーキは、10年前の60ドルが今は86ドル(+43%)に上昇。ミュージカル「シカゴ」を10年ぶりに見に行くとする。前は37.5~85ドルだったのに、今は69~136.5ドルだ。186.5ドルというプレミアム席も現れている。

 ミュージアムの入館料もこの10年で、自然史博物館は10ドルから19ドル(+90%)、現代美術館は10ドルから20ドル(+100%)、メトロポリタン美術館は10ドルから25ドル(+150%)に上昇した。