8月5日、米国債の格付け引き下げに端を発した株式市場の大幅下落は、リーマンショックを本震とした最大級の余震と考えることができそうだ。直接的な下落の背景は米国の格下げや景気後退懸念だが、ユーロ圏において、7月に域内主要国の好景気を理由に利上げしたばかりの欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁による、域内景気への懸念発言が引き金だったとされている。

 100年に1度といわれたリーマンショック後、主要国政府は金融緩和と財政出動によって短期的には危機を脱したかに見えた。しかし、当初先手を打って利下げや量的緩和などを実施したユーロ圏において、金融政策はECB、財政政策は各国任せといった制度的な問題が、市場のターゲットとなっている。ギリシャからポルトガル、スペインなどに波及し、いまや、イタリア、フランスに至るユーロ圏主要国まで、次々と崩落の危機にさらされていることが、大幅下落の一方の要因だ。

 そのようななかで、リーマンショック以降の主要国の各市場にはそれぞれ違った動きが見えてくる。株式市場は、ギリシャのようにデフォルト認定まで格下げされた国は別として、ポルトガルやスペインなどは格下げにさらされながらもそれほど遜色ない動きである。米国も格下げされたとはいえ、4月の高値時からの下落率は他市場に比べて逆に小さいほうだ。株式は比較的長期投資家が多いことや、バリュエーションなどが確立されこなれた市場であることから、短期的には格下げなどで下落するものの、その後は修正されていることがわかる。