人口が減少すると、経済成長が止まる

 日本はすでに人口減少社会に突入しています。
 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、国勢調査をベースにした日本の人口がピークだったのが2010年で、総人口は1億2806万人でした。これが徐々に減少傾向をたどり、2030年の総人口が1億1662万人。2048年には1億人を割り込んで9913万人になり、2060年には8674万人まで減少するという推計値が発表されています。

 つまり、2016年時点で25歳の人たちが定年を迎える40年後(65歳定年が実現していればの話ですが)には、総人口が1億人を大きく割り込む時代が来るということです。

 また平均初婚年齢も
1970年 男性26.9歳、女性24.2歳
2011年 男性30.7歳、女性29歳
そして、予想では
2020年 32.3歳、女性30.7歳 ……と今後も高くなっていくと予想されています。

 さらに、生涯未婚率も上昇傾向をたどっています。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、

 生涯未婚率は
1970年 男性が1.70%、女性が3.34%
2010年 男性が20.14%、女性が10.61%

 となっており、2015年版の「厚生労働白書」によると、生涯未婚率は2035年に男性が29.0%、女性が19.2%まで上昇すると推測されています。つまり、男性はほぼ3人に1人が結婚経験なしという状況になるのです

2035年には男性の3人に1人が結婚しない!人口減少とお金の話


 今の婚姻制度では、基本的に結婚しないと子供は出来ないはずですから、未婚率の上昇は、それだけで子供が減る原因になります。 さて、このようにして子供の数が減ると、どうなるでしょうか。ご推察の通り、老人の人口比率が上がっていきます。

少子高齢化の意味するもの

 稼いでくれる子どもが少なく、高齢者の比率が高まれば、それだけ社会保障費がかさむことになります。
 社会保障費とは「医療」、「年金」、「福祉」、「介護」、「生活保護」などの公的サービスのことをいいます。そして、これらの財源は主に税金であり、社会保障費の多くを現役世代が負担しますから、現役世代はいくら働いても可処分所得が増えず、消費に回せるお金が少なくなり、経済の活力が衰えます。

 どの数値を取っても、人口減少と超高齢社会の到来によって、日本という国の経済力は後退せざるを得ない状況なのです。
 出生率を上げることも、移民の受け入れも困難となれば、あとはもう人口減少を甘受せざるを得ません。つまり働き方にしても、資産形成にしても、これからの日本は人口が徐々に減っていくことを前提にして、戦略を練ることが必要になるのです。

2035年には男性の3人に1人が結婚しない!人口減少とお金の話

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役社長
大学卒業後、現クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立、07年4月より現職。現在、口座開設数12万人超、預かり資産1800億円を突破。著書に『最新版! 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(共にダイヤモンド社)、『退職金バカ 50歳から資産を殖やす人、沈む人』(講談社+α新書)他多数。