関西国際空港を本拠点とするLCC(格安航空会社)、ピーチ・アビエーションは低価格と独特なマーケティングで客足を伸ばしてきた。一方、4月からは株主構成の変更に伴い、ANAホールディングス(ANAHD)の持分法適用会社から、連結子会社になった。ANAの影響力が強まり、ピーチの独自性は弱まるのか。4月にANAの傘下になって以降、初めてメディアのインタビューに応じた井上慎一CEO。ピーチの強みと課題、ANAHDによる連結化の影響について聞いた。(週刊ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
──ANAホールディングス(ANAHD)が304億円を投じて、保有するピーチ株を38.7%から67.0%に引き上げました。これによりピーチはANAHDの持分法適用会社から連結子会社となりました。ピーチの今後の戦略に対してどんな影響がありますか。
ANAHDの片野坂真哉社長からは「ピーチは今のままでいい。それがピーチとANAグループの価値を高めることになる」と言われています。
世界の航空市場を見渡すと、北東アジアにおけるLCCシェアはまだ10%程度です。他方、東南アジアのそれは50%、欧米は40%近い。そこから考えても、北東アジアのLCCマーケットはこれから20%以上、伸びる余地があります。
片野坂社長からは「アジアマーケットを見た際、ANAがリーチできない客をピーチが獲得することで、ANAグループ全体の価値を上げる」と言われました。
──それに対して井上CEOはどう思ったのですか。
仰る通りだと思いました。一般的なパターンとしては、大グループの連結子会社になると、経営陣も変えられるなど、想像されると思います。しかし、そうしたことは全く起きてないし、予兆もありません。「今まで通り、好きにやってよろしい」ということです。