結局、政権発足から4年半経ったが、経済は思うように復活しない。異次元緩和「黒田バズーカ」の効き目がなければ、更に「バズーカ2」を断行し、それでも効き目がなく、「マイナス金利」に踏み込んだ。これは「カネが切れたら、またカネがいる」という、かつて何度も繰り返されたことと全く同じである(2016.6.7付・P2)。これは、金融緩和・公共事業で株高・円安に導き輸出産業に一息つかせる「アベノミクス」が、実はつぎ込むカネの量が異次元だというだけで、旧態依然たるバラマキ政策でしかないことを示している。

 だが、アベノミクスは安倍政権の狙い通り、「支持率維持」には貢献してきた。国民は簡単にアベノミクスを捨てられないからだ。アベノミクスが瞬間的だったとはいえ、「失われた20年」の長期経済停滞に苦しむ国民に一息つかせたという事実は侮れない。国民は、第二次安倍政権が発足するまでの、歴代政権が苦心惨憺取り組んできた財政再建や持続可能な経済運営に疲れ果てていた。国民はとにかく、「今さえよければいい、一息つきたい」と思ったのだ。

 特に、アベノミクスはサラリーマンに支持された。彼らは人事異動でいずれ部署は変わる。経営者でさえ「雇われ社長」が多い。いずれ交代するのだ。だから、大事なのは目先の「決算」だ。株高・円安で企業がとりあえず利益を上げられて、「決算を乗り切れればなんでもいい」ということだったのだ(2014.2.5付)。

 彼らは、規制緩和や産業構造改革という成長戦略は、「目先の決算を乗り切った後にしてくれ」と思っている。とりあえず「先のことは考えたくない」のだ。安倍政権は、国民のボリュームゾーンであるサラリーマンのこんな「本音」を見抜いていた。だから、高支持率を維持するために「国民の望むバラマキ政策」をずらっと並べ続けてきたのである。そこには、まじめに規制緩和や構造改革を論じても、どうせ国民は目を背けるだけだという「国民不信」が、間違いなくある。

選挙で重要争点を隠し続ける
安倍政権を国民は勝たせ続けた

 安倍政権の「国民不信」がもっと露骨に出ているのが、選挙である。安倍政権は、2012年12月衆院総選挙(2012.12.19付)、2013年7月参院選挙(2013.7.23付)、2014年12月衆院総選挙(2014.12.18付)、2016年7月参院選挙(2016.7.19付)と、国政選挙で連勝した。その結果、連立与党の自民党と公明党、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の3党を合わせた「改憲勢力4党」の議席数が改憲の発議に必要な「全議席の3分の2」を超えた。安倍首相の悲願である「改憲」が現実的な政治課題となる圧倒的な多数派形成に成功したのである。