前原・小沢両氏の連携で形勢一変か
直前まで読めない「小沢戦法」の中身

 8月29日に実施予定の民主党代表選は、前原誠司前外相が独走する可能性が出てきた。

 それは、前原氏が出馬表明で「挙党一致」を明言し、小沢系を排除しない姿勢を鮮明にしたからだ。

 そして前原、小沢両氏と親しい京セラの稲盛和夫氏が2人に会って、意思疎通を図ったのだろう。

 また、反小沢の急先鋒であった前原氏の後見役を任ずる仙谷由人氏が小沢一郎氏と会談し、挙党一致への協力を要請したという。前原・小沢連携の最大の障害と思われた仙谷氏が大きく変貌したのだ。仙谷氏はきっと、菅直人政権の後半期で、小沢不信より菅不信を募らせたのだろう。

 先に出馬を表明していた野田佳彦財務相の選対会議には、立候補に必要な推薦人(20人)にも満たない15人しか集まらなかったという(24日朝日新聞)。

 他の候補も例外なく小沢グループに秋波を送っているから、もし、小沢氏が前原支持となれば前原氏の圧勝となろう。

 代表選は月曜日だから、多くの国会議員は金曜日の夜に選挙区へ帰り、月曜の朝までに東京に戻ってくる。

 選挙区で「前原支持でなければ次の選挙ではあなたを応援しない」と言われれば、それまでである。変身の理由をつくるために選挙区帰りする人も少なくないだろう。

 これから、小沢氏の党員資格停止を解除するかどうかが焦点になる。前原氏は既に「現執行部が決定したことを尊重する考えで党が結束すべきだ」として解除を否定した。

 小沢氏はおそらくギリギリまで誰を支持するか明らかにせず、前原陣営を揺さぶるだろう。そのために、もう1人の候補を、前原氏を牽制するため温存し続けるのではないか。

 前原氏が小沢氏にどのような妥協をするのか。それによっては政権の座に着いてから大きな不安要素が残る。