実は、私自身も知人と同じような失敗をしたことがある。地方の銀行の研修担当者とお会いした時のことだ。その担当者に対して「背が高くていいですね。バスケットでもやっていましたか?」と声をかけた。初対面でお互い緊張感もあったため、アイスブレイクのために言った言葉だ。

 “背が高い”と言うのは男性にとって褒め言葉のはず。《女性じゃないし、これは問題ないだろう》と思っていた。ところが、相手の反応は良くない。

 うんざりした顔で「よく言われるのですが、バスケもバレーもやっていません」と回答してきた。きっとこの方は人と会うたびに同じことを言われ、いちいち否定することに飽き飽きしていたのだろう。この一言でさらに空気は悪くなってしまった。

 緊張感をほぐそうとして言った言葉が裏目に出たのだ。その後、この銀行からのリピートの研修依頼はない。

 女性でも男性でも安易に身体的な話をしてはならないし、自分の思い込みで発言してはならない。これは自戒の念を込めて言いたい。

まったくおめでたくなかった
息子さんの結婚話

 結果が出ていない営業マンは「余計な一言」を口走りお客様の気分を害してしまう。政治家が一言の失言で政治家生命を断たれるように、営業マンもたった一言で今まで積み上げてきたものを台無しにしてしまうことがある。これには十分注意が必要である。私自身もこういった失敗を何度も味わってきたものだ。

 さらに、二例ほど私の失敗例をお話しさせてほしい。

 まず一例目だが、60代のお客様と商談していた時のこと。息子さんの話になり、近々結婚することが分かった。私は少し大げさに「おめでとうございます!!」と祝福の言葉を送った。しかし、お客様は怪訝な顔をしながら「それが違うのよ」と言い出す。

 照れ隠しだと勘違いした私は、さらに「息子さんの結婚ですから、おめでたいことじゃないですか!」とかぶせてしまった。すると、お客様は声を荒らげ「だから、まったくおめでたくないのよ!」と怒ってしまったのだ。