豊田通商が今春、大掛かりな組織再編に乗り出した。その狙いや今後の成長戦略について、加留部淳社長に聞いた。

豊田通商、「脱たこつぼ化」組織改編で次世代自動車に注力Photo by Kazutoshi Sumitomo

──昨年度は当期利益で1000億円台の過去最高益となりました。

 トーメンとの合併から10年目となる一昨年度は、資源価格の下落もあり赤字決算となりました。しかし、地固めを行った結果、昨年度の当期利益は1079億円、今期は1100億円と増益見込み(共にIFRS基準)。資源リスクは一昨年でほとんど減損したので、十分に達成可能でしょう。

──成長への施策は。

 一つ目は次世代自動車関連です。電気自動車の普及、自動運転、炭素繊維などへの素材置換など、今や自動車産業は100年に1度といわれる構造転換期にある。

 例えば、金属本部の顧客企業に金属を炭素繊維へ変えたいニーズがあっても、従来の商品本部ごとの組織では十分に対応できない面もあった。

 こうしたたこつぼ化を避けるため、今年4月にCTO(最高技術責任者)直轄で商品本部横断の専門組織「ネクストモビリティ推進部」を設立。さらに各商品部にネクストモビリティ部隊を設け、兼務も含めて約150人が有機的に連携を取りながら、顧客ニーズを最適な部門につなぎます。