教養を一気につけるには「この2割」を知ればいい

マッキンゼー・アンド・カンパニーなど要求水準の高いビジネスの現場を渡り歩き、「可能な限り優れたパフォーマンスを実現するためにはどうすべきか?」と試行錯誤してきた著者が提案する、ビジネスパーソンのためのまったく新しい学習法『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』。佐藤優氏が「ビジネスパーソンにとって本当に役に立つ最良の書」と絶賛するなど話題の同書より一部を特別公開する。

最も重要な「20%」を頭に入れる

『新・独学術』では、学習参考書を使ったビジネスパーソンの効率的な学習法を紹介しています。ビジネスパーソンが教養として必要な経済用語を覚えるには、どのような方法がいいでしょうか。そのポイントは次の3つです。

(1)問題集に答えを「書く」
(2)参考書を一気に「読む」
(3)空き時間にスタディサプリを「聞く」

 それぞれ、説明していきます。

 まずは(1)ですが、「80対20の法則」はご存じでしょうか。

 これはさまざまな分野の事象において「全体の数値の80%は、20%のものが占めている」という法則で、経済学者のパレートが発見した法則なので「パレートの法則」とも呼ばれます。たとえば、「あるデパートにおける売上の80%は、デパートの商品の20%が叩き出している」といったことがこのパレートの法則に当てはまります。

 この法則が、ビジネスパーソンの学習にも当てはまります。

 経済用語や経済の理論でも、受験や資格試験は関係なく、ビジネスパーソンが教養として覚えるのであれば、頭から全部覚える必要はありません。覚えるべきは参考書全体の20%で十分です。優れた参考書1冊でも100%暗記しようとしたら、過剰な労力と時間を必要としてしまいます。

 では、覚えるべき「20%」はどう選べばいいか。

 それはズバリ、問題集で「問いになっている部分」です。

 これは当然の話で、出題者だって「ここが重要だ」と感じるからこそ、その部分を出題しているわけです。

 つまり、効率よく重要な箇所を学習するためには、参考書を読むより先に、問題集で問いになっているところをまず暗記する。これがベストです。

 そのときに、『政治・経済 標準問題精講』(旺文社)など、問題数の少ない問題集を使うと、問題がより重要なポイントに絞り込まれているので、さらに効果的です。

 いざ問題集に取り組むときは「解く」のではなく、解答を見て、解答欄に赤字で答えを書き込んでしまい、そのうえで問題集を暗記するという方法がおすすめです。

 語句埋め問題であれば、解答を見て、空欄に正しい語句を書き込んで文を完成させます。選択式であれば、正しい選択肢を蛍光ペンで塗り、あとはすべて×をつけます。こうして、「読んで理解できる問題集」をつくってしまうのです。

 問題集は、最低3回は繰り返すことをおすすめします。

 1回目は、解答を赤字で書き込み、正しい選択肢を赤の蛍光ペンで塗る。2回目は、重要な箇所をノートにまとめる。そして3回目は、赤のチェックシートを被せて、問題を解いていきます。

 この学習法は、私が中学生のときの試験対策で編み出した方法です。その後、伝説の名著、有賀ゆう氏の『スーパーエリートの受験術』(鹿砦社。絶版。中古で数万円の値がついています)でも紹介されているのを発見して、改めて効率的な学習法だと確信しました。