若いうちから投資する人が珍しくなくなった今、“いつのまにか富裕層”になる人も増えている。しかし、せっかく増えた資産の相続については、何も考えていない人も多そう。特に、若い人ほどその傾向は顕著だ。そこで今回は、相続のプロが“若くても遺言書を作成すべき人”や“遺言書を作成する際の注意点”などを解説!(ダイヤモンド・ザイ編集部)

「ダイヤモンド・ザイ」2025年10月号の「投資家のための【終活】大全」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

“想定外の人”に遺産を渡さないようにするには
まだ若くても遺言書を作成したほうがベター

 ある程度の資産を保有する人は、自分に万一のことがあったときに備えて、相続のことを考えておいたほうがいい。人によっては、遺言書も作成したほうがいいだろう。「私はまだ若いから大丈夫」「家族仲が良いから遺言書なんていらない」などと思っているかもしれないが、年齢にかかわらず、人は突然亡くなることもある。

 また、遺産は想定外の人に渡る可能性もある。たとえば、子のいない夫婦の場合。夫が「全財産を妻に」と考えていても、遺言書がなければ、夫の両親にも相続権が発生する。夫の両親が亡くなっていれば、夫のきょうだいが相続人になる。それを望まないなら、遺言書を作成しておいたほうがいい。

 ここからは、遺言書について知っておくべきことを、一問一答の形式で紹介していこう(以下、解答してくれたのは相続専門税理士の前田智子さん)。

【Q】独身だけど、遺言書は書くべき?

 まず、誰が相続人になるか確認しましょう。両親がご健在なら、ご両親のみが相続します。シニアで子どものいない独身の方は要注意。ご両親が亡くなっていて、祖父母も他界している場合、きょうだいが相続します。きょうだいが亡くなっている場合は、その子ども(夫の甥や姪)が相続人になります。つまり、両親が亡くなっていると、あまり縁のない親戚が相続権を持つケースも少なくないのです。

 もし、法定相続人となる親戚よりも、別の人に財産を渡したいなら、遺言書を書きましょう。たとえば、長年連れ添った内縁のパートナーや、特にお世話になった友人、あるいは慈善団体などに財産を譲りたい場合などです。