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フェイスブックとはひと味もふた味も違う!
クラウドの寵児セールスフォースが編み出した
企業向けSNS「チャター」の経営革新力

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第161回】 2011年9月8日
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 こうしてみると、セールスフォースがチャターで描いているのは、SNSは作業の一部ではなく、SNSを継続する中で仕事が進んでいくというイメージだろう。社内外メンバーのプロファイルも、フェイスブックやリンクトインなど他のSNSから統合して自動的に作成できる。同社が企業向けSNSにかける信頼と期待は大きい。

 さて、チャターと同様の企業向けSNSは、競合他社も参入するソフトウェア開発の次の戦場だ。こうした新しい潮流によって社内にもどんどんSNSが入ってくると、社員はそれなりのコミュニケーション・モードをマスターする必要性が出てくるだろう。つまらないことを書き込めば飽きられるし、堅苦しく語っているだけではSNSならではのうま味が出てこない。もちろん、情報をせき止めたりするとすぐばれて、非難を浴びたりすることにもなるだろう。

 セールスフォースのジョージ・フー執行副社長によると、仕事で使うSNSは自然発生的なエネルギーを引き起こすきっかけになるもので、企業トップが率先して使い始めることで社員を刺激できるという。また、時に感情的な文面になってしまうメールと違って、みんなが読んでいるという意識がブレーキになり、「ポジティブな」口調でのやりとりを促進する結果になるという。少なくともコミュニケーション上は、「最良の自分」を振る舞いながら仕事を進める。これが生産性に直結するかどうかは、これからの観察を待つことになるだろう。

 セールスフォースの創設は1999年。以来、着々と業績を伸ばし、現在の年間売り上げは21億ドル。日本へも進出し、日本郵便、トヨタ自動車などを顧客に持つ。不景気もどこ吹く風か、今年も1000人近い新規採用を行ったという。チャターは、強気のセールスフォースが押しまくる新しい経営革新ツールなのだ。
 

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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