戦略は的中します。リリース当初の月商は1000万円程度でしたが、おおむね7倍ペースで推移。昨年の実績でいうとおよそ月商150億円前後をコンスタントにたたき出す、まさにモンスター級のゲームとなったのです。モンストはmixiと同じように、月を追うごとにユーザー数が飛躍的に伸びていく指数関数グラフを描いていきました。

あなたが属する企業や組織の
“秘伝のタレ”とは何なのか

「ぼくたちは、バイラルを含めたマーケティングを得意技、スキル、あるいはケイパビリティとして持っている軍団だと思っている。たとえばCMをとってみても、他社の多くがインストールを訴求している一方で、ぼくらはバイラルが広がっていくためのネタになるものを重視しています。『お仏壇のはせがわ』を模したCMもその一つ。要は、1人で遊んでもらってもバイラルは広がっていかないので、友だちとワイワイ盛り上がる、そういう人たちを取り込んでいく戦略です。最初は『流行に乗っかって、外からゲームプロデューサーを連れてきたんでしょ』とか、不連続な新規事業がたまたま当たったんだろうという見方もされましたが、こういう部分はmixiからの“ずらし”と言えると思います。いわば、うちの“秘伝のタレ”をうまく使った事業ですから」

 そもそも、ミクシィという会社自体に、コミュニケーションによって楽しい時間を生み出していくという理念があり、それが“対面型”という特徴を持ったモンストの開発につながったとも言えます。相手の顔が見えにくいインターネット社会においても、人と人の直接的なコミュニケーションを大切にしようという根底の理念が、mixi、そしてモンストを生み出していったのです。

 まさしく自社の本質的なアセットに基づいて、新たなビジネスを編み出し、新たな顧客層をつかみ取った「顧客ずらし戦略」の好例だと言えるでしょう。

 読者の方々も、属している企業や組織の“秘伝のタレ”とは何なのかを見つめ直してみてはいかがでしょうか。新たな活路はそこから開けてくるのかもしれません。