21世紀に入ってから、「IT企業=儲かる」は当然の認識となってきている。もちろんダメな会社もたくさんあるが、ITの成功企業の利益はけた外れに大きい。では、なぜ儲かるのだろうか。その原理を考えたことがあるだろうか。『会社に入る前に知っておきたい これだけ経済学』の著者・坪井賢一氏に、経済学の論理から、IT企業の儲かるメカニズムをひも解いてもらった。
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「収穫逓増」と「収穫逓減」
インターネットが普及し始めた1990年代半ば以降、収穫逓増の法則(限界生産力逓増の法則)が働くビジネスが成長している。生産要素、すなわち労働や資本など、費用を1単位ずつ投じた結果得られる生産量(収益)の増加分がどんどん増えていくビジネスだ。
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通常、伝統的なビジネスでは、これとはまったく逆に収穫逓減の法則が働く。生産要素を追加するとコストはどんどんかさんでいくので、追加1単位あたりの収益増加分は減っていくのだ。
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インターネットの普及により、増産に対するコスト増が極限まで下がり、収穫逓増が実現している。ネットでデジタル商品を売れば、増産に対するコストはほとんど増えない。スマホのアプリは典型的な例で、あとで登場するミクシィはスマホゲームの開発と販売で急激な売上増と利益増を実現した。