ソフトバンクが日韓露を海底送電網でつなぐ「アジアグリッド構想」を極秘裏に検討していることが、週刊ダイヤモンドの取材でわかった。想定する事業予算の合計は約1兆円。その背後には日本の高コスト体質を見透かした外資系メーカーの存在がある。実現への壁は高いが、電力改革のきっかけになるかもしれない。

7月のインタビューでアジアグリッド構想を打ち明けたソフトバンクの孫正義社長
Photo:Kazutoshi Sumitomo

 ソフトバンクの孫正義社長の元には今、外資系の総合電機メーカーや太陽光パネルメーカーがひっきりなしに訪れ、商談に汗をかいている。あたかも“孫詣で”といった現象が起きている。

 ソフトバンクの参入した大規模太陽光発電(メガソーラー)事業に絡み、必死に売り込んでいるだけではない。さらに大きな事業への参画をにらんでいるのだ。

 じつは、ソフトバンクは世間をあっと驚かせる新構想を極秘裏に検討している。

 東アジア全体を送電網でぐるりとつなぎ、互いに電力を融通し合う「アジアグリッド構想」がそれだ。電力不足の解消策として、孫社長が本誌の取材に対して 明らかにしたものである。

日韓露を海底ケーブルで結ぶという。韓国の送電網
Photo:REUTERS/Jo Yong hak

 この構想の概要はこうだ。

 南は九州と韓国とを結び、北は北海道とロシアとを送電網でつなぐ。海には直流高圧の海底ケーブルを垂らし、陸はモンゴルやチベットまで延ばしてしまう。 国家間で電力を融通し合うのだ。