――三菱重工は複合的な要因で厳しくなっています。

 三菱重工は客船で失敗したからですね。でも。防衛部門がなくなっても会社は何とかやっていけるのではないでしょうか。あまり儲かる部門でもない。しかし、そこはやってもらわなきゃいけない。

「戦車は千社」っていうぐらいで、戦車に関わる会社は1000以上。飛行機は1200社ある。三菱重工などの大企業にとっては売上高の1割程度の防衛部門でも、中小零細メーカーにしてみるとそれがほとんど全てなわけです。防衛予算が減ると潰れてしまうところも出てくる。

 それと、日本では何社がヘリコプターを造っているか。完成機で言えば3社ですよ。そんな国は世界中どこにもありません。全ての会社に仕事が万遍なくなんて言っていたら国が潰れるので、1~2社に再編成していく必要があるでしょうね。

武器輸出三原則の見直しは
野田内閣の唯一まともな政策

 防衛産業の在り方はもう一度きちんと総点検しなきゃだめだと思います。

 私は、武器輸出三原則の見直しは野田内閣がやった唯一のまともな政策だと言ってきました。

 冷戦が終わったということは共同研究、共同開発、共同生産、共同運用の時代になったということです。

 かつて「戦闘機3倍の原則」というのがあって、機種を更新するごとに単価が3倍になっていく。すると、コストに耐えられる国がなくなってくる。それだけ値段が高いから研究開発のリスクも高いわけです。であれば、研究開発のリスクを共同で負って、納税者の負担を下げましょうとなった。

 日本独自の車両とか飛行機を持っていくと、整備部隊を連れて行かなければいけない。外国の人は珍しい飛行機だと喜ぶかもしれないけど、展示場に行くわけじゃないですからね。

―― 一方、共同研究をやっていくと米国にコア技術を握られてしまうという懸念を持ちます。

 それはよく言われる議論です。じゃあ北欧のスウェーデンはどうやっているのか。

 スウェーデンは飛行機も戦車も潜水艦も全部自国で造っていました。ところが、福祉国家ですから国民負担が大きくなって(防衛予算に回す)お金がないということになって、戦車はドイツ製のレオパルドを使うようになった。

 でもスウェーデンは特殊な技術を持っていて、これがないとレオパルドも超一級の戦車にはなれないのです。

 バーゲニングパワーというのはそういうものです。