──東日本大震災から半年になる。3月11日を境に、何が変わったか。
じつは、3.11以前から、世界は混乱していた。米国は、リーマンショックの後遺症からオバマ政権の基盤が揺らぎ、株価が乱高下している。欧州は、通貨統合したものの、財政政策で各国の足並みが揃わず、ユーロが崩壊の危機に立たされている。
一方、基本的に組み立て産業で生きてきた日本は、中国や台湾、ベトナムといった国々に地位を脅かされ、競争優位が失われて、もう変わらなければ立ち行かない、待ったなしの状況に追い込まれている。
3.11は、こうした構造的課題を、あらためてあぶり出した。
──復興に向けた青写真は。
日本という地震大国が自然と共生していくための国づくり、都市づくりが必要だ。
今回の震災では、高くそびえる防潮堤さえ津波を防ぐことができなかった。自然と人間が住む世界を人工的に壁で隔てることなど無意味だということがわかったのだ。そうではなく、自然と人間の世界の境界をフレキシブルにして、大雨や災害に応じて変化するような仕組みをつくればいい。アジアの国々は地震が多いし、ワシントンでも先日地震があった。日本がそうした技術を開発できれば、大きな強みになる。