パートナーの裏切りにシロクロつけるだけじゃない、探偵が依頼者に求められる「意外な役割」夫の浮気と浮気相手も確信している。それでも事実を知った方が良いのかどうかは分からない。知った後どうすれば良いのかも分からないという相談者に探偵は…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」として活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。探偵歴十数年でほとんどの相談内容は不貞に関する相談です。パートナーの不貞に悩みながら、いざ証拠を取ってみると「離婚するかどうか、決められない」という方が、意外と多いんです。今回は、決断できないまま苦しんでいた依頼者が「決めなくていいこと」を決めたことで、ようやく気持ちが楽になった事例をご紹介します。(探偵芸人オオカミ少年・片岡正徳/登場人物はすべて仮名)

「離婚したいわけじゃない」
それでも今のままは限界

 夫の戸丸成秀さん(とまる・なるひで、37歳)の不貞疑惑について相談に来られた郁久美さん(いくみ、37歳)は、私の前に座るとしばらくうつむいたまま、指先を強く組んでいました。

 沈黙の時間が、必要以上に長く感じられたのを覚えています。

オオカミ少年・片岡正徳オオカミ少年・片岡正徳

 そして、絞り出すようにこう言いました。

「離婚したいわけじゃないんです。でも何も知らないまま、この気持ちを抱えて生き続けるのがもう限界です」

 声は震えていましたが、涙はこらえていました。

 泣いてしまったら、何かが決まってしまいそうだったのかもしれません。

 少し間を置いて、ぽつりと相談内容を話してくれました。

 成秀さんとは同じ大学の同級生として出会い、すぐに付き合い始め、3回生の時に学生結婚しました。

 成秀さんは将来の起業を目指して大学院へ進学し、郁久美さんは生活を支えるため証券会社に就職しました。