経営 X 人事

今、中小企業経営者を悩ませる「人材」にまつわる5つの課題

2.「社員が定着しない」悩み

 とはいえ、残業ゼロは事務部門であれば達成しやすいが、営業や現場の作業員は顧客の要求や工事の進捗の影響を強く受ける。

 このA社も大口顧客主体の経営を行っておりそれまで「顧客の要望は絶対」であったが、経営者は「顧客第一主義」から「社員第一主義」への転換を宣言。顧客の"一極集中"から"多極分散"に経営戦略自体を変え、終業時間以降の顧客の要望を受け入れないことを徹底させた。

 営業担当者は顧客が離れて目標達成が厳しくなるのではと危惧したが、経営者のほうから「初期の目標を低く設定したらどうか」と提案し「経営の覚悟」を示した。これが社員のモチベーションを上げることにつながり、「社員が定着しない」という課題の解決につながったという。

3.「残業を減らしたくても人員が足りない」悩み

 「人員が足りないのは、ぎりぎりの人員しか採っていないからだ」と前出のA社の経営者は指摘する。有給消化率100%を達成するためには、休んだ人の仕事をカバーする体制を作らなければならない。それには人員にゆとりを持たせ、一人の社員が複数の仕事を覚える仕組みが必要だ。

 東北を拠点にした製造業のB社では、社員数を増やさずに本社の営業部門(一部の事務部門を含む)と工場の交流を活発化させることで乗り切った。通常の会社では工場のラインで働く社員が営業を経験することはないが、B社では本社と工場間の"短期留学"のような異動が頻繁に行われている。

 それを可能にしたのはラインの自動化。熟練の技を持たない本社社員でも戦力になる。もちろん工場の社員も適正を見て営業の現場に出したり、事務部門の支援に回る。「複数の部署を経験することで営業は工場の事情を理解し、工場は営業の現場で顧客のナマの声を聞くことができる」。しかも突発的に人手が足りなくなれば応援に駆けつけることもできるわけだ。その結果、各部門間の人員を適正・柔軟に配置できるようになり、残業を減らすことができた。

経営 X 人事 特集TOPに戻る

関連記事

 


人事News&Analysis

経営戦略に大きく関わる企業の人事・人材の最新情報・注目事例をレポートする。

「人事News&Analysis」

⇒バックナンバー一覧