すべては「シングルタスク」で解決する
そんな画期的な本を発表したのは、デボラ・ザックだ。彼女はマネジメントや人間関係のスキルの専門家であり、コーネル大学ジョンソンスクール(経営大学院)の客員教員を15年以上にわたって務め、アメリカ教育省、メンサ、スミソニアン協会、ロンドン・ビジネススクール、オーストラリア・インスティテュート・オブ・マネジメントなど100を超える企業や団体に指導をおこなうなど八面六臂の活躍を続けている。
同時に複数のことをこなそうとする行為を「マルチタスクをする」と、世間では表現する。でも、そもそも脳は複数のことを同時に処理できず、むしろ2つ以上のことに注意を向けつづけていると脳機能が低下すると著者は説く。
とはいえ職場でも日常生活でも、私たちはマルチタスクをこなすことを期待されているし、こなして当然だと思われている。自分の仕事を進めながらも、電話がかかってくればすぐに対応し、メールがくればできるだけ早く返信する。締切りが同時のプロジェクトも複数並行して走っている。日々、猛スピードで情報が渦巻くこのご時世、マルチタスクをせずに生活するなんて無理だ……そう思うのも無理はない。
だがこの状況を解決できる方法が1つある。それがこの「一点集中術」だ。一度に1つの作業だけに集中する「シングルタスク」によって、ストレスなく、最速で最大の成果を上げられる方法だ。
このシンプルな、けれどこのうえなく役に立つスキルを日本の読者が実践し、あしたから、いえ、いまこの瞬間から、日々の生活を変え、充足感を覚える一日をすごしてくださることを願っています。
(本原稿はデボラ・ザック著『SINGLE TASK 一点集中術』の訳者あとがきから抜粋・編集して掲載しています)