『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』が8月30日にダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

人は自ら病気を作り出すことがある?

失敗を避けるため、ときに人は、自ら病気になる?

 私の友人は会社で常に良い成績をあげていました。そして周囲よりも早く管理職に昇進し部下を持つこととなりました。しかし、名選手必ずしも名監督ならず。自分流のやり方を押しつけた結果、彼は部下から総スカンを食ってしまいます。やがてそれは周知のこととなります。彼は会社へ行くのが恐くなってしまいました。気がつけばうつ病にかかっていました。こうして、彼は会社へ行かなくても済む「免罪符」を手に入れたのです。

 ある若手女優が初めての主演舞台の準備中に体の震えが止まらなくなり、練習ができず舞台が中止に追い込まれる、ということがありました。本人は頑張ろうとしたらしいのですが、立ち上がることすらできないほどの虚脱感があった、ということです。

「人は人生の敗北を避けるために、あらゆるものを利用する」とアドラーは言いました。時に人は自分でも気づかないうちに病気を作り出すことがある、というのです。病気になれば会社や学校へ行かなくても済む。人前で無様な姿をさらさなくても済む。そう思うと、「頭痛」「腹痛」「発熱」「吐き気」「パニック」などの症状を無意識のうちに作り出すことがある。これを心理学では「疾病利得」といいます。

 病気になるのは辛いことです。しかし、衆目の下で自らの敗北をさらされることに比べればなんということはありません。負け戦に挑むくらいならば病気の方がましだからです。

失敗を避けるため、ときに人は、自ら病気になる?アルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。