貿易と関係が深い通貨(為替レート)に関しては、昨年12月に米国の中央銀行FRBが利上げを実施したときに、アジア通貨危機の時のように人民元は下落を始めた。それに対し、中国の通貨当局は人民元を上方に誘導し下落(暴落)を回避するように運営した。近年の通貨危機とは、主として新興国の為替レートが暴落することだ。そのきっかけは、米国の利上げであることが多い(「暴落」とは為替レートでも2割以上の下落を言い、経済本体で吸収しきれない影響が出る)。

 中国人民元はIMFの構成通貨に採用されることも目指し、市場実勢を参考にして為替レートを設定してきた。しかし今年5月、中国の通貨当局は市場実勢とは関係なく恣意的に人民元の為替レートを日々固定することにした。この影響は大きく、まさに人民元は下落を止めた。もちろん、それ以前から資本の流出を抑え気味にして、ビットコインの取り締まりを強化、取引を規制しビットコインによる資本流出を止めた(その後、ビットコインが暴落した)。

 この人民元の下落が止まった(固定化した)ことによって、中国は人民元買い・ドル売りの為替介入の必要がなくなってきた。中国の外貨準備高は世界最大の4兆ドルで、2位の日本(1.2兆ドル)を大きく引き離していたが、それでも米国債保有は日本の方が多かった。この状況は流動性の高い介入資金としてドルを保有していたことも一因である。

 今回の人民元の固定化により、中国は手元流動性の保有額を減らすことを可能にした。結果、米国債購入を拡大し日本を抜き第1位になった。この時期の米国債の購入拡大は、米国政府にとって嬉しいはずだ。9月末にトランプノミクス対応もあり、債務(国債発行額)上限の拡大をしなければならない状況下、米国債の強力的な買い手となってくれる可能性が高いからだ。