行政に保護されるより
ホームレス暮らしの方が快適!

 彼らによると、行政に保護されるようになったときに困るのは、今のブルーシート生活のような「快適さ」が失われることなのだという。

2017年度末までに撤去されることが決まっている「いろは会商店街」のアーケード。ここに住むホームレスたちは、どこに次の居場所を求めるのだろうか?

「公園だからトイレもあるし、仲間もいて、ワイワイやれるし、自家発電機だから電気代もかからんしね。ちゃんとした部屋に住めば、光熱費とか電気代もかかるやね。そこがキツいやね」

 厚生労働省の調査によると、今、全国のホームレスの数は、2016年調査では6235人だった。4年前の調査時は9576人。年々、その数は減少している。

 行政としては、さらにホームレス数を減らして行きたいところだろう。玉姫公園を所管している東京都台東区役所では、「月に4回、彼らには生活保護に移行するよう説得している」(台東区)が、強制力をもってホームレスを排除することはできないという。

「人権の問題もあります。それにブルーシートを強制的に撤去して、生活保護受給させるというのもちょっと…」(台東区役所公園課)

 地元NPO関係者も、「なんとかホームレスの人たちが今の境遇から抜け出せるよう、われわれも全力で支援していく」と語るが、山谷のホームレスたちにとっては、大きなお世話なのではないだろうか。

 もちろん、病気やケガをしてしまえば、ホームレス暮らしは厳しくなるだろう。しかし、元気でいる間は、家こそブルーシートではあるが、気心の知れた仲間と、そこそこの生活設備がある玉姫公園で十分満足しているように見えた。

 西成に通って、ホームレスたちの生活苦を見聞きし慣れている記者にとって、ここの光景は、ちょっとしたカルチャーショックだった。西成のホームレス氏の言う通り、山谷は“田園調布”の異名にふさわしかったのだ。