「スティーブ(・ジョブズ)はきっと誇らしく思っているはずだ」──。ティム・クックCEOは、そう感慨深げに口にした。
発売から10年目となるiPhoneの最新製品が、米アップルの新本社内にできた「スティーブ・ジョブズ・シアター」で発表された。3世代目となるアップルウォッチや4K対応のアップルTVなどの新製品と並んでお披露目されたのが、iPhone 8、そしてiPhone Xの二つのiPhoneだった。iPhoneの新製品発表会で、2世代同時にモノが出るのは、これが初めてだ。
現行のiPhone 7のバージョンアップ版である8と、ホームボタンの廃止や全面ディスプレーの採用、顔認証によるロック解除など基本機能を大幅に変更したXが、9月と11月にそれぞれ発売されるという。Xと並べて販売される8は、新発売なのにXと比べると「型落ち」モデルとして店頭に並ぶことを余儀なくされる。従来の操作性を重視するユーザーと、最新型を求めるユーザーの両方に向けて新製品を用意した格好だ。
売上高の65%がiPhoneで、いまや「スマートフォンメーカー」であるアップルだが、iPhoneの成長は落ちている。販売台数は2016年第2四半期から17年第1四半期まで前年同期割れ。今年も、第1、第3四半期にプラス、第2四半期にマイナス、と安定しない。「10年目」の節目の今回の新製品投入は、アップルにとっては勝負を懸けたものとなった。