メーカーが必死に隠したい不都合な真実
――中毒になる「至福点」は計算され、御用学者に守られる
続いてガモー氏は、アメリカに渡ります。そこでは、人々を砂糖中毒に陥れることで業績を上げている企業の実態を浮き彫りにしていきます。
ある10代のアメリカ人男性は、砂糖のたくさん入った清涼飲料水を多飲したために、ほぼすべての歯がなくなっていました。
もともと清涼飲料水は、アメリカでトウモロコシが生産過剰に陥ったことがきっかけで生まれたと言われています。余ったトウモロコシを無駄にしないようコーンシロップをつくり、溶かして人々に売りさばくことを考えたのです。
そのときに、どのくらいの量を入れれば血糖値が上がって至福点に達するかも計算されています。つまり、企業の利益のためにあえて中毒をつくりだしたわけです。
しかし、税金をたくさん納めている企業に対し、国や自治体が本気で規制に乗り出すことはできません。アメリカでは買収された学者が「肥満を呼ぶのは糖質ではなく脂肪だ」という説を垂れ流し、いまもそれを信じている人が世界中にいます。
詳しくは書籍『医者が教える食事術 最強の教科書』で説明していますが、糖質をとることによって血中のブドウ糖が過剰になると、中性脂肪に形を変えて脂肪細胞などに溜め込まれます。これは生化学をきちんと学んだ者にとって当たり前の話なのですが、なかなかわかりにくいメカニズムです。
それよりも、「脂肪を食べたから体に脂肪が溜まるのだ」と言われたほうが一般人には受け入れやすいでしょう。しかし、人間の体はそんなに単純ではありません。食べた脂肪がそのまま体に溜まるということはなく、むしろ脂肪は便に出てしまう分も多いのです。
赤道直下に、ナウル共和国という小さな国があります。かつては原住民が昔ながらの暮らしを続けている島に過ぎませんでしたが、リン鉱石という資源が発見されてからは非常に豊かになり1986年に独立します。
リン鉱石のおかげで、人々は遊んで暮らせるお金を政府から受け取れるようになりました。と同時に、アメリカをはじめとした先進諸国から、コカコーラやハンバーガーに代表される「文明食」が入ってきます。
仕事をせずにそれらを多食していた人々は、あっというまに糖質中毒になり、8割が肥満という世界のワースト記録を樹立しました。しかも、リン鉱石は発掘され尽くし、いまは最貧国の1つに転落してしまいました。肥満や糖尿病という文明病に溢れただけの、貧乏国家になってしまったのです。
日本も中国も中東諸国もそうですが、お金があるところには砂糖が運び込まれ、それによって儲けを得る人が出てきます。
日本人は、もはやコーラには騙されないかもしれません。その代わり「健康にいい」「パワーが出る」「頭がスッキリする」といったうたい文句にはすぐに釣られます。そういうコピーで売られている商品に、砂糖がたんまり入っているものがあるのです。