「思いがけず情報システム部門に配属されてしまった」
「本業でいっぱいいっぱいなのに、新規プロジェクトに膨大な時間とられてうんざり」
「専門用語もITのしくみも、正直、意味がわからない」

企業がITビジネスをどんどん広げていく傾向にある中、そんな悩みを抱える人が増えているようです。しかし、見方を変えると、ITに関する知識やスキルは、ビジネスパーソンにとっての心強い「武器」になります。

そこで、かつてない「システム発注者のための入門書」として注目を集め、発売早々重版を重ねる『システムを「外注」するときに読む本』の著者が、「知識ゼロ」でもわかる、システム開発の全容と、実践的な知識とスキルをお伝えしていきます。

システム導入プロジェクトに巻き込まれ
うんざりしている人へ

「自動車会社に入社して、好きな車種の営業に力を入れようとワクワクしていたのに、情報システム部門に配属されて、ワケのわからないコンピュータのことばかり考えるハメになってしまった……」

「営業職でバリバリ売上を稼いでいたのに、面倒な新規システム開発のメンバーにアサインされ、週のうち少なくとも3日はそちらに時間がとられてしまう……」

「難解で興味も持てない仕事を押しつけられるのは苦痛で仕方ないし、こんなことを押しつけられて、今後のキャリアパスはどうなってしまうのか不安でしかたない……」

そうしたことに悩んでいるビジネスパーソンは、意外と少なくないようです。

仮に、今はITと無縁の仕事をしていたとしても、決して安心はできません。昨今、多くの企業はAIやIoT、ブロックチェーンなどの技術を活用して、新しい商売のネタやビジネスモデルの変革に注力しています。

IT要員の増強や育成は、どの企業にとっても重要な課題です。営業、企画、設計、製造、マーケティング、バックオフィスなど、あらゆる分野でITの活用が必須となっている以上、組織内のどんな人にも、情報システムに携わらざるを得ない可能性があるのです。

しかし、本人が好むか好まざるかにかかわらず、情報システムに携わることになったからには、イヤイヤ仕事をしていても良いことはありません。モチベーションを下げて作業の品質を下げるようだと、人事上の評価も下がりますし、そもそも、いい加減に仕事をこなすことほど時間を無駄にする行為もありません。

ここはひとつ腹をくくって、良い製品を作ったり、売上を上げて自分の会社に貢献するのと同じように、「本当に役に立つ情報システム」を作って売上向上やコスト削減に貢献し、自身の給与アップや昇進にもつなげていくのが賢明な選択だと言えるでしょう。

ITシステム開発のスキルは
替えがたい「武器」になる

見方を変えると、ITシステムを作るスキル・知識のある社員というのは、他に替えがたい人材です。売上を伸ばしたり、コストの削減ができるシステム導入を成功に導いてくれる社員は、場合によってはトップセールスマンを凌ぐ貢献ができる存在です。

また、転職を考えるような時にも、ITシステム開発に関する知識やスキルは、英語やデータ分析、経理、法律などと並んで、あるいはそれ以上の価値を生む、ビジネスパーソンにとっての心強い「武器」になります。

「英語ができる人」より「システムがわかる人」の価値が高い理由システムの知識があなたの武器になる

私が携わったプロジェクトでも、Webで通販サイトを作って数十億の売上を上げる会社や、無駄な作業をシステム化によって億単位のコスト削減に成功した例は決して珍しくありませんが、その功績は間違いなく、そのシステム導入を成功に導いた発注者企業のシステム担当者のものです。

そうはいっても、何から、どのようにシステムを学べば良いのか、誰も教えてくれないのが現実です。

情報システムの仕組みなんて全然知らない。
ときどき耳に入ってくるIT用語の意味も、まるでちんぷんかんぷん。
どうやってシステムを導入すれば良いかなど、見当もつかない。

そんな人は、どうすれば良いのでしょうか?