『システムを「外注」するときに読む本』の主人公である白瀬智裕は、まさにそのような人物です。長年勤めた営業部門から、突如、システム開発プロジェクトのリーダに抜擢され、不満タラタラの状態でシステム開発に携わることになります。

そんな白瀬という人物が、クライアントの犯罪まがいの裏切りや、社内外での無数のトラブルを乗り越えながら、自社のビジネスモデルを大きく変えることになるシステムの導入に成功し、社長から厚い信頼を得て、発注者側のシステム担当者として成長していく過程を描いています。

情報システムの導入に何よりも大切なものは、ITの小難しい技術知識ではなく、自社業務の現実を知ることと、「仕事の仕方をこう変えたら、みんなが喜ぶだろう」というビジョンを持つことです。

そのビジョンを実現するために、現実の業務プロセスや制度をどのように変えるか、それを情報システムにどのように支援させるのかなどを考える必要はありますが、それらは決して難しいものではありません。プログラミング言語も、システム設計技術も、サーバやデータベースの技術知識も必要ないのです。それは、超文系人間の私が保証します。

とうわけで、本連載では、『システムを「外注」するときに読む本』よりもさらに初心者の方に向けて、発注者側のシステム担当者が、自社に価値をもたらすために必要な活動とはどのようなものか、そのために必要なスキル・知識とはどんなものなのかについて、詳細にお伝えしていきます。

社内の要望や経営方針を元に、システムの要件を定義すること、導入を依頼したベンダをどのように管理するか、そしてテストフェーズでの役割等、ひと通りのことを、できる限り初心者にもわかりやすく書いていきたいと思います。

まず次回は、ITシステムの「始めから終わりまで」に何をするのか、その全体像を明らかにしていきます。ぜひ、『システムを「外注」するときに読む本』と合わせてご覧いただき、使い倒していただき、ご自身のプロジェクトで実践していただければ幸いです。