「共産党に投票しても、落選したらなにも実現しない。自民党ではなにも実現しない。民進党ならば、共産党支持者の望む政策を取り入れることができる」と主張するのだ。自らの一票を「死票」にしないために、民進党に投票すべきだと共産党支持者を説得していけばいい。

 前原代表が、「共産党との共闘見直し」を主張していることを、中流の人たちはしっかり見ている。ここで共産党と妥協して、ブレた姿を見せたら、中流の支持を一挙に失うことになる。政権交代どころか、民進党は壊滅するだろう。そもそも、中流の人たちは、「民主党政権の失敗」のどこに一番失望したか。それは、「寄り合い所帯」で基本政策の一致がなく、党内で足を引っ張り合い、果ては「離党騒ぎ」でバラバラになったことだということを、忘れてはならない(2015.11.24付)。

民進党の役割は労組の支持を
新勢力に渡して消滅することだ

 前原代表に提言したいことがある。それは、自らがもう一度政権という権力の座に戻るという「私欲」を見せないことだ。安倍首相が支持を失った根本的な原因は「権力の私物化」にある。だから、この連載は安倍首相に「1年後の自民党総裁選に出馬しない。権力の座にしがみつくことはない」と宣言したらどうかと提言した(2017.8.4付・P5)。そうすれば、安倍首相に対する全ての批判を封印できて、残り1年間、改憲という「やりたい政策」に集中できると思うからだ。

 もちろん、安倍首相が「1年後の退陣」など考えるはずがない。その結果、安倍首相に対する「権力の私物化」批判は根強く残っている。前原代表が安倍首相との違いを出したいと思うならば、安倍首相にはない「潔さ」を見せるべきだ。

 そこで、今後の民進党は、「民主党の誕生から政権交代の実現」における「民社党・社民党右派」の役割を担うべきだと提言したい。1996年に民主党が誕生し、最初の衆院選で50議席を獲得した。若手政治家の当選を支えた基盤となったのは、自治労など労組の支持であった。

 つまり、民主党の誕生において、民社党・社民党右派は、労組という組織票を民主党に引き継いで消滅した。民進党も同じように、これから誕生するであろう「新しい政治勢力」に、連合の支持を引き継ぎ、消えていく役割を担うべきではないだろうか。

 そして、「新しい政治勢力」が立ち上がったならば、かつて、鳩山由紀夫氏・菅直人氏らが「排除の論理」で武村正義氏らベテラン政治家の参加を拒絶したように、前原代表、枝野幸男氏、岡田克也氏、野田佳彦氏ら「民主党政権の失敗」の戦犯を排除する。前原氏らはそれを「潔く」受け入れて、「新しい政治勢力」を陰で支える存在に徹するのだ。

 この潔さを見せてこそ、前原代表は、民進党に対する根強い不信感と自身に対する「言うだけ番長」という批判を乗り越えられるのではないだろうか。