ユーロ圏財務相会合後の10月5日、ギリシャでは航空管制官のストライキによってアテネ国際空港も機能が麻痺した。このほか鉄道や学校、病院などが閉鎖に追い込まれるという事態となった
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 ギリシャ政府の債務問題の解決が、またも先送りされた。10月3日のユーロ圏財務相会合は、昨年5月に決めた第1次金融支援枠からの第6回融資(80億ユーロ)の実行にメドをつけるはずだった。

 しかし、6時間にも及んだ会合は、ギリシャ政府の2013年以降の財政赤字削減策が足りないとして融資を拒否。当初は9月を予定していた融資が、再び見送られる格好となった。

 かたや合意されたのが、欧州金融安定化基金(EFSF)の融資能力のさらなる拡大だ。しかし市場では、「抜本的な解決にはなりえない」(藤岡宏明・大和証券キャピタル・マーケッツシニアクレジットアナリスト)と見る向きが多い。具体的な方策が曖昧で、実現する可能性がきわめて低いからだ。

 7月にはギリシャ向けの第2次金融支援に加え、EFSFの拡大も決定していたが、ここにきて危機を収束させるには、7月に策定していた拡大案では足りないことがわかってきた。

 EFSFの融資能力は各国議会の承認を経れば、10月中にも2550億ユーロから4400億ユーロにまで拡大される見込みだ。だが、信用不安が波及しそうなスペインとイタリアの今後3年の資金ニーズが「9000億ユーロを上回る」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)というのだ。

 それゆえ今回、危機の拡大を防ぐべく融資能力をさらに数兆ユーロにまで増額することで合意、ユーロ圏財務相会合の議長も会合後、「EFSFの機能拡大が必要なのは、われわれの共通認識だ」と強調したわけだ。

 しかし、欧州各国のEFSFにおける負担額は、もはや7月の増額分だけで限界に達している。仮に融資能力を1兆ユーロに拡大するとなれば、負担率の大きいフランスの債務残高が対GDP比で約100%にまで跳ね上がる。そうなれば、今度はフランス国債まで格下げともなりかねない。

 そこで秘策として浮上しているのが、各国の負担額を拡大せずとも融資能力を引き上げる“レバレッジ案”だ。検討されている複数の方法のうち、有力視されるのはEFSFが担保を差し出し、欧州中央銀行から資金を調達するというものだが、これもドイツ政府などの反対が根強く、実現は困難だ。

 さらにいえば、仮にEFSFの規模が拡大しても、ギリシャ向け第2次金融支援に使われるかどうかはまだ決まっていないことにも注意が必要だ。10月下旬には、ギリシャに対する第1次金融支援の第6回融資の実行がようやく決まる見込みだが、併せて第2次金融支援へのEFSFによる拠出も確定するかどうかが焦点となる。

 もっとも、これが確定しても、EFSFの規模拡大が絵空事であることに変わりはない。ギリシャ発の欧州不安が払拭される兆しは依然見えない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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