ドル円再上昇で問われる円買い介入の“限界”、構造的円安に抗う日本当局の「時間との闘い」先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を終え、記者会見する片山さつき財務相(中央)、植田和男日銀総裁(右)、三村淳財務官=5月19日、フランス・パリ Photo:JIJI

介入に踏み切った背景
内圧・外圧・株高などを勘案か

 日本の金融当局は4月30日、ドル売り円買い介入に踏み切ったようだ。介入実施が当局から公表されたわけではないが、政府筋が非公式に介入事実を認めた他、日本銀行公表の「当座預金増減要因と金融調節」からも介入実施は公然の事実となっている。

 ドル売り円買い介入はその後も断続的に行った模様で、介入あるいはレートチェック後とみられるようなドル円の急落が、5月1日、4日、6日、12日、14日にみられている。

 筆者はこのうち、6日は実弾介入の可能性が高い一方、それ以外についてはレートチェックなど実弾を用いないものだったみている。

 筆者は以前、高市首相の円安志向を背景に、口先介入によりスピード調整をしつつも緩やかな円安は容認され、実弾によるドル売り円買い介入はないとみていた。これまで高市首相は円安のメリットに言及こそすれ、筆者の知る限りデメリットについて言及したことはない。円安は日本経済にとってポジティブという第2次安倍政権以降の考え方を高市首相は踏襲しているとみられた。

 それでも当局が介入に踏み切った背景として、財界と米国から円安抑制の要請があった可能性が考えられる他、日銀の利上げペースが緩慢のため円高に歯止めがかっていることや、中東紛争による景気下押しリスクの高まりが考えられる。また、4月以降は全世界的に株価が急騰したことで、介入によって円が上昇しても株価が下落しにくくなったと判断したことなど、総合的に勘案されたとみられる。