工場の海外移転は
やむを得ない流れ

――ところで、古河財閥の流れを汲む、戦後に再集結した古河グループは、今日でも定期的に社長が集まる会合を続けています。どのような集まりなのですか。

 毎月1回、第三水曜日に古河グループの中核企業10社の社長が集まって、昼食を取りながら、リラックスした雰囲気の中でざっくばらんに情報交換をしています。10社とは、古河機械金属(旧古河鉱業)、古河電気工業、ADEKA、横浜ゴム、富士電機、富士通、日本軽金属ホールディングス、日本ゼオン、朝日生命保険、みずほフィナンシャルグループです。仕切り役は、古河三水会という専任組織が担います。

 例えば、「今度、うちの会社で、このような新しい取り組みを始めようと思うのですが、どなたか詳しい人はいませんか?」と相談を投げかけると、「それなら、うちの会社に詳しい者が居りますので、説明させましょう」となる。必ず、グループ内の詳しい人につながります。異なる分野の専門家が揃っているため、非常に重宝しています。

 定期的に社長が集まる会合(三水会)以外にも、グループ内の総務部長が集まる専門分科会などもあります。分科会活動は、けっこう盛んに行われています。

――足元の状況では、日本国内のエチレン生産設備(ナフサを分解・処理する装置)は20ヵ月以上も稼働率95%以上のフル稼働が続いています。日本ゼオンは、原油から取り出されたナフサに含まれるC4留分(ブタジエンなど)とC5留分(イソプレンなど)を使って特殊な化学製品を生み出してきました。しかし、近年は、国内にあるエチレン生産設備(鹿島コンビナート、千葉コンビナート、水島コンビナート)が、将来的な需給バランスに合わせて規模を縮小しています。いずれ原料の調達で困るのでは。

 国内のそうした動きに加えて、今年の後半から米国でシェール由来の安価な原料を使った大規模な化学工場が続々と立ち上がります。現時点では、原料の調達には困っていない。しかし、長期的な視点で考えれば、将来的に困る事態も考えられます。全ての基礎化学製品の元になるエチレン生産設備の能力は、07年に国内全体で年産770万トンあったものが、650万トンにまで減少する見込みにあるからです。