ボーイング社に渡したサンプルは、ボーイング社や連邦航空局のテストに合格、1997年2月に発注書が届いたが、注文数はたった8枚。最初はお手並み拝見というわけか、手荷物入れ用ではなく、客室用に使うとのことだった。その後、じわじわと発注量は増えていった。

 ボーイング社との取引は業界を驚かせ、大きな宣伝効果となった。その後、日本航空にも採用され、世界に広がっていく。

 だが、ずっと順風満帆というわけではない。たとえば、エアバス社のA350という機体にFFミラーエアを検討したいという電子メールが入ったのが2005年のこと。その後、さらなる軽量化を求められて、採用が決まったのは2012年と7年もかかった。お陰で、従来より薄く軽量の商品を開発できた。

 コミーの海外営業の責任者である渡邉剛・取締役はこう語る。

「交渉はエアバスに納入しているドイツの手荷物入れメーカーと行いましたが、サンプルを何度も出し、10回以上訪問しました。デザイナーやエンジニアからの要求が変わったり、エアバス社にどんでん返しされたり、大変でしたが、決まったときはうれしかったですね」

 渡邉に交渉のコツを聞くと、「わかったつもりにならないこと」と言う。

「必ず『あなたが言ったのはこういうことですね』と確認し、議事録を起こして、それも確認してもらいます。わからないことはわかるまで聞く。誤解を生まないようにいつも気をつけています」

12年間DMを送り続け
サウスウエスト航空とも契約

 コミーの海外営業担当は現在4人。小宮山は実際の交渉などは彼らに任せている。海外の取引は商社などを最初から頼らず、手探りながらも独自に行ってきた。営業・販促としては4つの手段を使っている。DMと海外展示会、英語のホームページ、そして定期的な顧客訪問である。重要な顧客は年2回、必ずキーマンと会うようにしている。

 DMは単にエアライン会社に配るだけではない。購買責任者などのキーマンを有料の名簿から特定し、簡潔な文書とサンプルを同封して、送っている。返信率は5~7%というからDMにしてはかなり高い。とはいえ、すぐに取引につながるわけではない。