日本に先駆けて韓国では、いよいよ超高速無線通信の「LTE」時代が到来! この分野で高い技術力を蓄積してきた韓国のLG電子は、満を持してグローバルに大幅なシェア拡大を図るという。同社の戦略やLTE対応機種の中身を検証しながら、LTEのポテンシャルやその普及がもたらす世の中の変化について探ってみたい。

すでに韓国ではLTE対応の
スマートフォンが登場

ソウル随一の繁華街・ミョンドンの中心地。東京・渋谷のように若者たちで賑わう。彼らの大半がスマートフォンを手にしており、日本よりもはるかに高い普及率を痛感した

 韓国のグローバルな玄関口の1つである金浦国際空港、その出発ロビーで目を惹くのが、最新モバイル機器の展示コーナーだ。2011年第2四半期(4~6月)における世界携帯電話市場において、韓国メーカーが2位(サムスン電子)と3位(LG電子)のシェアを占めているのだから、それは当然のことかもしれない。対照的に、日本製のモバイル機器はガラパゴス化して国内市場でしか受け入れられていないのは周知のとおりだ。

 韓国勢がグローバルにシェアを獲得しているのは、日本と比べて国内市場が小さく、海外に活路を見出す必然性があったからだが、ITの分野で日本よりもつねに先行してきたことも事実である。同国内におけるスマートフォンとフィーチャーフォン(従来型の多機能携帯電話)の割合は昨年の時点で約3:7だったが、現在は約8:2に大きく逆転。さらに来年には、前者の占有率が95%に達すると予想されている。

日本女性の間では依然としてフィーチャーフォンの支持率が高いが、韓国女性の間ではもはやスマートフォンが常識に。仕事からプライベートまで、幅広く活用しているとか

 実際、韓国の首都・ソウルの街を見渡しても、至る所でスマートフォンを片手に闊歩する人々を見かける。若者やビジネスマンのみならず、主婦やシニアに至るまで幅広い層に支持されているのだ。しかも、韓国ではこうした最新機器のポテンシャルをさらに引き出す次世代サービスがスタートした。ついにLTE(Long Term Evolution=ロング・ターム・エボリューション)時代が幕を開けたのである。

 LTEとは、現行の3G(第3世代モバイル通信システム)に代わる新たな通信規格で、4Gとも呼ばれる。韓国は今年7月からデータ通信専用のLTEを導入し、今秋にはサムスン電子、HTC、LG電子が相次いで音声通話も可能なLTEスマートフォンを投入した。