今週は安倍首相が衆院解散・総選挙を宣言する解散演説を行い、小池都知事も新党「希望の党」を設立する会見を行いました。しかし、両者の会見を聞いていて、私にはなぜ今のタイミングで解散総選挙が必要なのか、そしてなぜ都知事が新党を設立して国政に進出しないといけないのかが、まったく伝わってきませんでした。同じように感じた人は多いのではないでしょうか。その理由を考えると、今回の選挙の争点が見えてきます。
安倍首相は解散総選挙の
本音を語っていないのでは?
まず安倍首相の解散演説ですが、長いだけで訴える力の弱い、非常に出来の悪い演説でした。なぜそうなってしまったかを考えると、やはり本音を正直に語っていないからではないかと思います。
もちろん、解散総選挙を選択した最大の理由は、おそらく来年より今の方が勝てるからでしょう。ただ、それに加えて北朝鮮問題も大きな理由になっているのではないかと、個人的には感じます。
解散演説は、まず消費税問題で多くの時間を割き、次に北朝鮮問題、最後に森友・加計問題という順番だったので、ともすると消費税問題を最も重視しているように見受けられます。しかし、安倍首相が国連総会に出発する直前(解散総選挙を決めていた段階)に政権中枢のある人物と話したところ、消費税の話など一言もなく、北朝鮮問題ばかりであり、かつその内容が解散の理由として説得的だったからです。
その人曰く、北朝鮮の挑発が深刻になる中で、官邸は米国のトランプ政権から「もし北朝鮮と軍事衝突となった場合、米国はあらゆる対応をする用意があるが、日本はどこまでしっかりとした対応をしてくれるのか」と何度も問われているとのことです。
確かに、安保関連法案が成立して米軍の後方支援などは可能となりましたが、逆に言えば、現行憲法の枠内で他にも為し得るものの、まだ詰められていない点は残っています。小野寺外務大臣が自民党で主張していた敵基地先制攻撃の是非は検討されていないし、専守防衛の下で敵に攻撃されたらどこまで軍事行動を起こせるのかも、実は結構不明確だったりします。