キリン、社長肝いりの乳酸菌事業「第2の柱」化は前途多難「プラズマ乳酸菌」の機能表示ができないため、「先行する競合製品との差別化が難しい」との指摘も Photo by Akira Yamamoto

 健康志向を背景に拡大を続ける乳酸菌市場。その大波に乗りたいキリンホールディングス(HD)は、独自開発した「プラズマ乳酸菌」を活用し、新たな商品ブランド「iMUSE(イミューズ)」を投入する。

 これまでも、プラズマ乳酸菌を用いた商品は販売してきたものの、グループ間での連携は弱く、競争力を発揮できずにいた。今回、小岩井乳業や協和発酵バイオなどのグループ企業から複数の商品を統一ブランドとして発売し、乳酸菌市場での存在感を高める狙いだ。

 新ブランド戦略と並行して、グループ以外の企業へプラズマ乳酸菌を外販していく。まずは、カルビーが発売する乳酸菌入りのポテトチップスに提供。他企業との連携によりビジネスのボリュームを増やし、市場での認知度の向上につなげる。

 こうした多角化で、10年後には、乳酸菌事業で予測市場規模の1割に当たる230億円の売り上げを目指す。

飽和する乳酸菌市場

 だが、前途洋々とはいえない。今回の乳酸菌事業への本格参入は、社長直轄で昨年4月に発足した、事業創造部の第1弾事業として発表されたもの。「これまでにない新しい事業領域で、“ゲームチェンジ”を起こす」という磯崎功典社長肝いりの部門だ。にもかかわらず、乳酸菌というあくまで既存事業の延長の域を出ていないことに、市場関係者からは落胆の声も聞こえてくる。