乳酸菌市場には競合も多い。乳業最大手の明治HDが「R-1乳酸菌」で市場を席巻する。乳酸菌素材を外販するBtoB事業については、「シールド乳酸菌」を擁する森永乳業が既に150社以上と提携するなど、認知度では圧倒的な差がある。

 その森永乳業ですら、主に菌を外販する菌体事業の売り上げは、ビフィズス菌などのほかの素材を含めても20億円弱という規模だ。

 キリンの目標の大部分を自社のイミューズ製品の売り上げが占めると予想されるため、一概に比較はできないが「230億円がどこまで現実的な数字かは疑問だ」と、ある食品メーカー幹部は語る。

 磯崎社長は、ブランド発表の会見の際、「ゆくゆくは、イミューズブランドと合わせて、健康事業領域で1000億円規模の売り上げを目指す」とぶち上げた。

「乳酸菌だけでなく、ほかの事業も着々と進行している」というキリン事業創造部の佐野環部長の言葉を信じれば、第1弾のプラズマ乳酸菌の展開は、むしろ健康事業領域拡大の端緒にすぎない。

 市場としての成長性はあっても、乳酸菌のみで主力のビール事業を支える第二の柱をつくるのは難しい。キリンが本当に“ゲームチェンジ”を起こすつもりならば、今回の発表に続く第2、第3の新規事業を早急に提示していくことが必須条件だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)