ビール大手各社の上半期(1~6月)の課税出荷数量は5年連続で過去最低を更新、市場は縮小の一途をたどる。そんな中で、新ジャンル(第三のビール)に逆転劇が起きた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
「まるでビールの歴史をなぞっているかのようだ」。ビール大手幹部は、業界で起きたシェア逆転劇を前にそうつぶやいた。
ビール大手各社は7月、ビール、発泡酒、新ジャンルを合わせたビール類の1月から6月までの課税出荷数量を発表した。種別ごとに見ると、ビールは9421万ケースで前年比1.4%減、発泡酒は2636万ケースで同2.4%減、新ジャンルは6967万ケースで同0.7%減だった。
シェアに異変が起きたのは、新ジャンル市場でのこと。トップシェアを市場参入以来キープしてきたキリンビールが陥落し、アサヒビールが逆転したのだ。
同じようなことは20年前にもあった。1987年にアサヒの「スーパードライ」が登場すると、キリンはそれまで独壇場だったビールのシェアを落とし、98年にアサヒに逆転されたのだ。
新ジャンルでは、アサヒは主力商品である「クリアアサヒ」のリニューアルが奏功し、2016年には新ジャンルの販売数量が前年比10%増になるなど、乗りに乗っている。17年初頭の事業方針説明会で「新ジャンルでナンバーワンを目指す」(平野伸一・アサヒビール社長)と意気込んだ通り、背中が見えていたキリンを17年の折り返し地点で追い越した。