完全に安倍政権vs小池都知事の一騎打ちの様相をなした衆院選――。だが、小池都知事が出馬しないならば、希望の党が例え過半数をとったとしても首相指名する相手がおらず、政権選択にはならない。そんな中、希望の党に「排除」された、あるいは合流しなかった議員が「立憲民主党」を設立した。荒れる政局に翻弄された当事者はどんな思いで選挙戦に挑むのか。そして、55年体制以来の保守vsリベラルという不明確な軸に、二大政党政治は翻弄され続けるのか。(政治ジャーナリスト 黒瀬徹一)
立憲民主党の誕生
野党崩壊に翻弄された候補者たち
どなたであれ排除せず、ともに戦いたい――。
有限会社ノリ・コーポレーション 代表取締役、元グロービス経営大学院 客員准教授、イェール大学経営大学院経営管理学修士(現MBA)。同志社大学商学部卒業。著書に『元外資系人事部長が見た、要領よく出世する人』。
新党「立憲民主党」の設立を発表した際の枝野幸男代表の言葉だ。小池百合子都知事が新党代表として国政への参加を発表してから、あっという間に野党第一党だった民進党は崩壊した。小池氏が率いる「希望の党」への合流組、「立憲民主党」、そして「無所属」。
「安倍vs小池」の対立軸ばかりが注目され、希望の党に次々と「政党サーファー」たちが合流する中、その大きな政局の渦に翻弄された候補者たちはどのような思いでこの選挙戦に挑むのだろうか。
選挙を目前にして、選挙区での長い活動が一瞬で無意味になり、ある者は出馬を断念し、ある者は選挙区を飛ばされ、ある者は勝てるはずのない戦いに挑み、ある者は看板を替えて生き残りを図る。
彼らは台風の目である「希望の党」をどう見ているのか。そして、今後訪れようとしている二大政党政治に対する考えは。日本の政治は二大政党へ向かっていくのか。そうだとすれば、選択の軸は何なのか。
希望の党と日本維新の会との調整により、希望の党が候補者を立てないと決めた大阪。元々民進党の候補予定者として活動を続けていたにもかかわらず、一度は選挙に出られない事態に陥りそうになりつつも、立憲民主党からの出馬を決めた新人の村上賀厚氏にインタビューし、議論を交わした。