少子高齢化が急速に進んでいる日本。国勢調査の30代男女未婚率も1990年代頃から急上昇している。全国の30代未婚者数ランキングとともに、未婚者が多い市区の事情に迫った。(ノンフィクションライター 和泉虎太郎)
たった20年で1.5倍!
30代未婚率が急上昇
急速な少子化の進展と高齢者の増加に直面している日本は、有史以来の未曾有の事態に直面している。
有史以来の未曾有とは、読む人を緊張させる表現だが、これは少子化社会対策基本法の出だしである。少子化対策は、かくも国家にとって喫緊の課題となっていることが垣間見えるが、その現実を国勢調査のデータから読み解いていこう。
少子化の数値である合計特殊出生率は1.45。最低だった2005年の1.26よりはかなり回復してはいるが、それでも人口を維持するために必要とされる2.1にはほど遠い。
厚生労働省の人口動態統計によると、第一子出生時の母の平均年齢が30.7歳、第二子が32.5歳、第三子が33.5歳。出生の年齢も高くなりつつある現代においては、少子化に歯止めをかけるためには、30歳代の女性が子どもを産むのに不安を持たない環境があるかどうかが、カギを握っていることは間違いない。
子どもを産むということは、例外はあるにしても、一般的には結婚していることが前提となるが、出生率低迷の問題の根っこには、特に子どもを産む30歳代女性の婚姻率の低下がある。
国勢調査を遡っていくと、30~34歳女性の未婚比率が高くなり始めたのは1990年の調査からである。それまで7~10%で推移していた数値が、90年に13.9%、そして5年ごとに19.7%、26.6%、32.0%と急上昇していく。
男女雇用機会均等法の施行が86年(97年、2007年に改正)、セクハラという言葉が流行語大賞となったのがバブルのピークとされた1989年、その間の女性の高学歴化と相まって、女性の社会進出、女性の意識改革が急速に進んだことが背景となっていることは間違いない。
では、まず男女合わせた30歳代の未婚率だ。全国の数値は33.5%。95年の数値が22.3%なので、たった20年で1.5倍になっている。この未婚率の上昇の原因を探るために828の市区(15歳以上人口3万人以上、政令市は区単位。以下、本稿では同じ基準で集計対象を選んだ)について数値を算出してランキングした。それが下の表である。